令和2年2月 第420回小野市議会(定例会)
小野市長施政方針 小野市長施政方針
<PDF>1MB
はじめに
小野市の発展を56年間にわたり見届けた現市役所庁舎における最後の市議会となる第420回市議会定例会の開会にあたり、令和2年度当初予算をはじめ、重要案件の慎重なるご審議をお願い申し上げますとともに、市政に取り組む所信の一端を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様方のご理解とご支援を賜りたいと存じます。
昨年の国内情勢
昨年は、「もっともっと小野市を変える」との熱き想いを胸に、実に20年ぶりとなる選挙戦の結果、市民の皆様からの絶大なるご支持を得て、6期目の市政を担う栄誉を賜りました。
自らも今一度初心に立ち返り、「行政も経営」との一貫した基本理念をもって市政運営に邁進した一年でありました。
国内においては、消費税が8%から10%へ引き上げられるなど、国内税制が大きく変化した年であり、この消費税も、今後好むと好まざるとに関わらず、いずれ15%の時代がやってくるものと考えております。
また、豪雨による東日本での甚大な被害をはじめとして、まさに「災害列島日本」の様相を呈した年でもあり、一昨年の西日本豪雨もしかり「被災地の経験を教訓」として肝に銘じる必要を痛感した年でありました。
市としても阪神淡路大震災から25年という「節目」の年を前に、昨年から北播磨初となる「防災監」を新たに配置し、災害対応に万全な体制を構築しております。中国武漢市を発生源とする「新型コロナウイルス感染症」対策においても、防災監の指揮のもと北播磨管内市町でいち早く緊急対策会議を開催し、国・県との緊密な情報交換により、今後の動向を注視しているところであります。
令和2年のキーワードは”理念に基づいた変革”
現在、国においては「デジタルニューディール」の掛け声のもと、人工知能(AI)や次世代通信規格「5G」の導入が進むとともに、日本の製造業の2割を占めると言われる自動車業界においても、100年に一度の「大変革期」にあると言われております。
その新たな潮流を表す言葉が『CASE(ケース)』、すなわち、
「”C”はコネクテッド(つながる)」、「”A”はオートノマス(自動運転)」、「”S”はシェアリング(共有)」、「”E”はエレクトリシティ(電動化)」であります。
行政においても自動車業界における「CASE」と同様に、デジタル技術を活用して事業構造を改革する”デジタル・トランスフォーメーション”の課題を抱えており、時代の”大変革期”の真っただ中にあることを、我々も十分に認識する必要があります。
重要なことは、業界をけん引する民間企業の例を見るまでもなく、しっかりとした「経営理念」に基づき、「鋼のような強さ」ではなく、「柳のようにしなやかで、決して折れない強さ」の組織構造に我々自身が変化できるかであります。
その理念こそが”大変革期”を克服するカギと考えており、『行政も経営』という理念を基軸として”小野市を変える”との熱き想いを胸に、”小野市は変わったか”を問い続け、将来の『礎づくり』に向けた「更なる創造と変革」への挑戦の中に、真の安定を見出す姿勢が重要であります。
「行政経営」の理念に基づく実践具体例
市長就任以来、小野市では一貫した基本理念『行政も経営』のもと、①「顧客満足度(CS)志向の徹底」、②「成果主義」、③「オンリーワン」、④「後手から先手管理」という『行政経営4つの柱』を基軸とした”自治体経営の改革”にゼロベースの発想でチャレンジし続けてまいりました。
その挑戦の中で、特に小野市の街並みを大きく変貌させた代表的な取組を振り返らせていただきますと、大きく2つ、1つは、「シビックゾーンと位置付けたエリアにおける新市街地形成の取組」、そして、2つには、「小野長寿の郷構想区域の進展」であります。
まず、「シビックゾーンにおける新市街地形成の取組」であります。
平成23年の「みなと銀行の移転」をきっかけとして、翌年のJAとの官民共同事業で「セレモニーホール」がオープンし、平成26年には待望の「ホテルの誘致」が実現、それに併せて”うるおい交流館エクラ”に「市民交流ホール」を増設いたしました。
引き続き、その翌年には、市民待望の「小野警察署」が開署し、「市役所庁舎の移転新築決定」を契機に、民間活力導入型でイオン小野店北側の「ソロ池開発」に着手し、カフェ等の商業店舗誘致に加え、噴水装置の設置と夜間のライトアップ実施によって賑わいを創出しております。
そして、いよいよ本年3月にその集大成とも言える「市役所新庁舎」が完成いたします。奇しくも前回の東京オリンピック開催年であった昭和39年に産声をあげた現庁舎は、56年の時を経て再び東京オリンピック開催年の今年に”新たな場所で新たな姿”に生まれ変わります。
次に、「小野長寿の郷構想区域の進展」であります。
国道175号と「小野工業団地・小野流通等業務団地」間を結ぶ、市道「新都市中央線」の着手をきっかけとして、平成25年に「行政手法の再構築」ともいえる”全国初の大学と2市による統合病院”、34診療科450床の「北播磨総合医療センター」が開院いたしました。
その南側には「兵庫あおの病院」が移転し、あわせて700床からなる病床群が完成、昨年には高齢者福祉施設「くつろぎの杜」もオープンしたことで”一大医療・福祉拠点”に変貌を遂げつつあります。道路ネットワークについても、市道「新都市中央線」の全線開通によって、市内から小野工業団地方面へのアクセスが格段に向上しております。
現在、そのポテンシャルをさらに増大させる、もう1つの「行政手法の再構築」である県市共同事業「ひょうご小野産業団地」の整備が県市の役割分担のもと進捗中であり、令和3年度の全体完成に向けて昨年10月から先行分譲が開始され、3月中には、第一弾となる分譲企業が公表される運びとなっております。
以上が、将来に向けた「礎づくり」の代表的な取組でありますが、こうして振り返りますと、それぞれの取組が「場当たり的」なものではなく、1つの取組の「延長線上」に次なる取組を「積み重ねた」ものであることがお分かりいただけると考えております。
小野市も都市機能が充実してきたとのご意見を頂戴することがありますが、これでようやく他市と同じスタートラインに立ったに過ぎないと考えております。今年から、これらの資源をフル活用して、「まちの持続可能性」をいかに高めていくかという課題に対する「真の正念場」を迎えるものと考えております。
令和2年度はこれまでの取組が「見える成果」として結実
そこで、市長として22年目の市政運営に邁進するにあたり、重要なことは今一度市民目線に立って「市民」イコール「顧客」と捉えた「顧客満足度志向の徹底」に取り組むことであります。
真の「顧客満足度志向」とは、市民の皆様からの要望を大衆迎合的にお聞きすることではなく、市民一人ひとりが、十人十色、その人なりに”結果的に小野に住んで良かった”と誇れる「まちづくり」を中長期的な視点によって実践することであると考えております。
今年の小野市は、海上自衛隊東京音楽隊の「ニューイヤーコンサート」で華々しく幕を開けました。そのファンファーレが象徴するかのように、今年はこれまでから手掛けてきた重要事業が次々と結実し、小野市の未来に「確かな一歩」を踏み出す記念すべき年であります。
まず、小野市の新たなシンボルとなる「市役所新庁舎」が3月に竣工し、「小野希望の丘陸上競技場」もオープンいたします。
さらに、令和3年度の全体完成を目指し、県市共同事業で進捗中の「ひょうご小野産業団地」も、近日中に第一弾となる分譲企業が決まり、「まちの持続可能性」が高まる第一歩が始まります。
新年度予算の主な施策
それでは、令和2年度当初予算につきまして、その主なものを申し上げます。
『将来にわたり持続可能な健全財政の確保』と位置付けた令和2年度一般会計の予算規模は、市役所新庁舎等の完成に伴い33億円減となりますが、5年連続の200億円超えとなる222億円の積極型予算であります。
市税収入は、当初予算としては、3年連続の70億円超えとなる70億7千万円を計上しており、引き続き、徹底した無駄の排除を敢行しつつ、次世代へつなぐ持続可能な健全財政の確保を念頭に置いた予算としております。
その重点項目は「4つ」であります。
1つには、「健康でいきいきと輝けるまちづくりの推進」
2つには、「子育て支援・教育環境の充実」
3つには、「安全・安心の確保」
4つには、「都市基盤の充実と公共施設等の最適化」であります。
≪健康でいきいきと輝けるまちづくりの推進≫
まず、1つ目の重点項目、「健康でいきいきと輝けるまちづくりの推進」であります。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」や現役世代の1.5人が高齢者1人を支える「2040年問題」への対応が急務とされる中で、”予防医療や健康づくりの充実”による環境整備が重要になってまいります。小野市では、これまでから高齢者の活躍の「場」を提供し、多種多様な活動を促すことで、「健康寿命の延伸」に向けた様々な取組を進めております。
まず、元気な高齢者の方々への生きがい創出対策として、河合西町に現存する中世の歴史遺産を活用した新たな健康づくりの拠点「堀井城跡ふれあい公園」がオープンいたします。天然芝8ホールの「グラウンドゴルフ場」も8月オープンの予定としており、高齢者のみならず新たな市民交流の「場」になるものと期待しております。
次に、健康維持や介護予防等の”きっかけづくり”として制度開始3年目を迎えた「おのアクティブポイント事業」は、現在約4,700名の市民の方々が参加されています。多種多様な活動が”予防医療”の実践につなげるよう参加者増加に向けた取組を進めるとともに、市内6地区の「地域づくり協議会への助成」も継続実施することで“市民力向上”につながるよう取り組んでまいります。
一方で、現在日本人の2人に1人が「がん」になり、3人に1人が「がん」で亡くなる時代と報道されておりますように、「がん」は我が国において、昭和56年以来死因第1位となっており、年間30万人以上の方々がお亡くなりになっています。
そこで、「予防医療対策」の充実に向けて、がんの早期発見、早期治療を推進すべく、乳がん検診と子宮頸がん検診の2種類であった”節目年齢における対象者への無料クーポン”を、本年度より新たに”胃・肺・大腸”を加えた「5種類に拡大」するほか、一部の検診について「対象年齢」を拡大してまいります。
また、社会的弱者と呼ばれる方々を社会全体で包み込む「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」の重要性が謳われて久しいですが、対象の方々が住み慣れた地域で自分らしく生活し続けられる環境整備が重要になっております。
そのため、要介護高齢者の方々を対象とした「定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所」等の整備を進めるとともに、新たな取組として、増加する発達障がい児への対応充実等を目指し、市内における「民間児童発達支援事業者」の開設に必要な費用の一部を助成してまいります。
≪子育て支援・教育環境の充実≫
次に、2つ目の重点項目「子育て支援・教育環境の充実」であります。
“地方から国を変える”という気概を持って、国に先駆けて取り組んだ「就学前教育・保育料の無償化」は、3年半の時を経てようやく実を結びました。0~2歳児につきましても、国が定める保育料の3割を軽減し、子育て世代の経済的支援を継続してまいります。
次に、市内全小学校で直営してまいりました「アフタースクール」についても、新たなチャレンジとして全クラブを”民間委託”してまいります。
このチャレンジは、「官から民へ」の潮流を踏まえ、”民間にできることは民間に”という『行政経営』の理念に基づく「行政手法の再構築」であります。
なお”子育て支援の小野市”を代表する施策である、県内初となる「高校3年生までの医療費」の所得制限なしでの「無料化」については、当然のことながら継続実施してまいります。
そのほか、「妊娠・子育てサポートセンター」では、母子保健コーディネーターと支援専門員が、妊娠・出産・保育・育児の”ワンストップサービス”を引き続き展開するほか、本年度より新たに予防接種の予定日や検診日などが自動でスマートフォンへ配信される「母子手帳アプリ」を導入してまいります。
次に、『教育』につきましては、これまでから総事業費60億円をかけた学校整備計画に基づき、「市内全学校の耐震改修」、「全教室への空調設備の導入」、「洋式トイレ化」など、“安全・安心”で授業に集中できる環境整備を行ってまいりました。
本年度においては、「小野市学校施設長寿命化計画」に基づき、「小野南中学校校舎の長寿命化改良事業」に取り組んでまいります。
今回の改修工事によって今後40年間の使用に耐えうる校舎への環境改善を図るとともに、従来の50年周期の建替手法と比較し、約33億円の費用削減が可能になると見込んでおります。
「教育現場」におきましても、小野市独自の教育プログラムである「おの検定」や教育行政顧問の川島隆太教授の脳科学理論に基づく科学的知見に裏付けされた「16か年教育」をしっかりと定着させるとともに、引き続き、「校務支援システム」や「到達度テスト」を有効活用し、義務教育9か年の“情報の共有・一元化と水平展開”の徹底と、学校運営の「マネジメント力強化」による「小野市独自の小中一貫教育の深化」に努めてまいります。
なお、本年度より、小学校において「英語」が教科化され、「プログラミング教育」が導入されますが、当市においては、「先手管理」でALT(外国語指導助手)の増員や情報教育機器の整備を順次進めることで、教育現場の環境変化にフレキシブルに対応してまいります。
≪安全・安心の確保≫
次に、3つ目の重点項目、「安全・安心の確保」であります。
小野市では、”市内全域どこでも現場到着10分以内”の体制構築を目指して「消防署北分署」を含めた3署体制を確立しております。直近の令和元年中(1~12月)の実績は、救急出動件数2,310件に対し現場到着平均時間は6.8分であり、県内29市中芦屋市に次ぐ2番目の速さで目標を達成しております。
本年度においては、救急需要の”高度・多様化”に対応すべく、「高規格救急車」を更新するとともに、救急現場の課題に柔軟に対応するため、「消防指令システム」の再構築を通じ、機能向上に取り組んでまいります。
具体的には、聴覚障がい者等の119番通報が可能となる「NET(ネット)119」、現場からの119番通報時に映像情報が添付できる「Live(ライブ)119」、増加する外国人の消防救急需要に対応する「多言語通話システム」を導入するとともに、新庁舎屋上に災害情報カメラを設置してまいります。
開始から17年目を迎え、市民の皆様にしっかりと定着した「安全安心パトロール」は、開署5年目を迎える「小野警察署」と連携し、地域に根付いた防犯・交通安全活動を展開しております。導入前の平成15年と比較して、市内の刑法犯認知件数が76%も減少するという目覚ましい成果を上げております。
さらに、「防災対策」の更なる充実に向けて、昨年の千葉県における大規模な停電発生を踏まえ、避難所となる市内小、中、特別支援学校、各コミセンに「災害時用の発電機」を配備し、非常時の電源確保に努めるとともに、河合地区の避難所となる小野特別支援学校に「防災倉庫」を設置し、災害への対応力の増強を図ります。その一方で、重要なのは市民自らが防災のためにどう立ち上がるかであり、それが小野市の「命運を分ける」と考えております。
また、多くの学生が通学路として利用する「市道片山高田線」につきましては、沿道地権者のご理解のもと、歩道新設に向けた工事に着手しており、引き続き、用地取得及び道路改良工事を進捗させ、第一工区の完了を目指してまいります。
運行開始から17年目を迎え、今や年間20万人に迫る方々にご利用いただく「らん♡らんバス」は、満車状態が見受けられた一部のルートにおいて、本年1月から「中型バス」の運行を開始し、8台、11ルート体制で市内のほぼ全域を運行しております。
新庁舎オープンにあわせて「新ダイヤ」による運行を開始する予定としており、超高齢社会に対応した高齢者の”移動手段の確保・充実”に向けて、更なる増車も視野に入れ、利便性向上に取り組んでまいります。
次に、「北播磨総合医療センター」であります。
平成25年10月の開院以来、安全で質の高い医療を提供しており、現在34診療科、450床、病床稼働率92%で順調に推移しております。
現在の医療スタッフは、医師156名、看護師502名、医療技術職員116名の計774名で、委託業者も含めると総勢1,300名を超える充実した医療体制で、”良質な医療の実践等”について中立機関が審査・評価する「病院機能評価」についても、最新版を取得しております。
現在の1日平均患者数は、入院約393人、外来約1,060人となっており、患者1人当たりの平均単価も入院、外来ともに昨年度を上回る状況で堅調に推移し、令和元年度決算についても4年連続の黒字を達成できる見込みとなっております。
本年度においては、「がん診療体制」のさらなる充実に加え、約30億円を投資して「最新鋭の医療機器類」を導入するほか、「駐車場の拡張整備」を進める予定としており、これら「医療機能の充実」によって北播磨地域の”中核病院”としての病院づくりを推進してまいります。
≪都市基盤の充実と公共施設等の最適化≫
そして、4つ目の重点項目「都市基盤の充実と公共施設等の最適化」であります。
先にも申し上げた通り、いよいよ半世紀ぶりの”ビッグプロジェクト”として、小野市の新たなランドマークとなる「市役所新庁舎」が完成いたします。
市民の皆様も既に地上6階、一部7階建ての全体像をご覧いただいているように、本体工事は概ね完成の段階になっております。
「うるおい交流館エクラ」との間を結ぶ連絡橋”きららブリッジ”も12月に完成しており、3月20日に予定する「竣工式典」に向けて、最終仕上げに取り掛かっております。
新庁舎は“市民目線”を念頭に置き、免震構造を採用し災害時においても業務継続が可能な設備を完備するほか、環境性能の高い設備を採用し、二酸化炭素排出削減にも寄与する庁舎としており、ゴールデンウィーク明けの5月7日に業務を開始する予定としております。
なお、新庁舎開庁に伴う交通流動の変化や渋滞緩和対策として、「市道109号線」の拡幅工事に着手しており、小野警察署などが立地するシビックゾーンへの道路アクセスを強化してまいります。
さらに、人工芝インフィールドを備えた小野市初となる”全天候型舗装400mトラック”を備えた「小野希望の丘陸上競技場」がオープンいたします。
来る5月24日には、「新庁舎前」をスタートする「東京2020オリンピック聖火リレー」の市内ゴール地点になっており市民の皆様の記憶に残る「聖火リレー」となるよう盛り上げてまいります。
次に、兵庫県との共同事業として取り組む「ひょうご小野産業団地整備」であります。
令和3年度の全体完成に向けて現在工事が順調に進捗しており、先行分譲中の3区画については、近日中に分譲企業が公表される運びであり、残る5区画についても本年秋から分譲開始の予定であります。
この「産業団地の整備」によって、8社の企業立地と1,000人を超える雇用創出による新たな産業振興が期待できます。
また、県市の役割分担に基づき小野市が担う道路、上下水道等のインフラ整備も順調に進捗しており「産業団地内」の基幹道路である市道「新都市南北線」についても、当初の山田町内の市道121号線までの計画を「国道175号」まで延伸させ、渋滞緩和と新たな道路ネットワークを構築してまいります。
この区域に、兵庫県が整備を進めている「東播磨道」が接続すれば、2つの病院と高齢者福祉施設による「医療・福祉・健康」が”三位一体”となった『小野長寿の郷構想区域』のポテンシャルと、既存の小野工業団地及び新たな産業団地が生み出す”活力ある産業振興”とのリンケージが”さらなる発展”を小野市にもたらすと確信しております。
なお、「現市役所庁舎」の跡地活用については、「小野市の活性化」につながる提案がなされるよう地元をはじめ関係者と協議を進めるとともに、「コミセンおの」についても、”今あるもの”に新たな命を吹き込む『リノベーション』の一環として、現行の「福祉総合支援センター」を「新コミセンおの」として活用すべく改修工事を実施してまいります。
北播磨27万人が22万人へと小野市ひとつが消滅するに等しい「人口減少」が始まっている中においては、新たな時代における固定観念から脱却した「ゼロベース」での事業再構築が必要になると考えております。
「ごみ処理問題」、「播磨看護専門学校」などをはじめとする”あらゆる分野”において、新たな広域行政の枠組や手法による「行政手法の再構築」の方向性を示してまいりたいと考えております。
予算総額と健全な財政運営
以上、令和2年度予算は、一般会計222億円、特別会計107億円、企業会計64億円で、総額を393億円としております。
財政状況については、様々な事業を実施する一方、効率的な行政運営を進めてきた結果、市長に就任したときの平成10年度と比較しますと、基金、いわゆる預金の残高は、約52億円から、新庁舎建設等に伴う取り崩しがあるものの、72億円を確保できる見込みであります。
一方、借金にあたる地方債残高は、新庁舎建設、堀井城跡、浄谷黒川多目的運動広場などの大型施設整備によって、平成10年度の約169億円から令和2年度は約231億円と、62億円増える見込みでありますが、231億円のうち約6割にあたる133億円は、後年度に国から補てんされるため、市の実質負担は約4割相当の98億円であります。
このため、次世代が負担すべき借金を計る「将来負担比率」は、決算が確定した平成30年度では、県内29市中低い方から4番目となるマイナス32.9%であることに加え、地方交付税についても、県内29市中、芦屋市に次ぐ少なさであり、バランスの取れた行政運営ができております。
なお、参考までに、新庁舎建設決定時に設定した、「基金残高70億円維持」、「実質公債比率10%以下」、そして、「将来負担比率30%以下」という”3つのガイドライン”は、「将来負担比率の18.8%」をはじめとして、新庁舎完成後の令和元年度決算においても、いずれの項目も「堅持」できる見込みであります。
今期定例会には、一般会計予算案をはじめ、27件の議案を提出しております。細部につきましては、各担当者が説明いたしますので、慎重にご審議のうえ、ご決定いただきますようお願い申し上げます。なお、定例会中に追加議案の提出を予定しておりますことを申し添えます。
おわりに
現在、「少子高齢化」や、「2025年問題」をはじめとして、日本の将来を悲観する議論が大きく報道されておりますが、明治以来の近代化、そして、戦後の成長型社会が終焉し、「成熟型社会」を迎えた状況においては、人口減少が一定程度進行することはやむを得ないと考えております。
我々が目指すべきは、人口減少の現実を直視し、肯定的に受け止め、”スマート・シュリンク”、すなわち「賢く縮小」させながら、人口が減っても「活力を失わないまち」を積極的に築いていくというポジティブな姿勢であります。
「我が故郷(ふるさと)、小野市をもっと良(よ)うしたろう」そのために『もっともっと小野市を変える』この想いは、日夜一瞬たりとも私の脳裏を離れたことはありません。
たとえ、他の自治体が手をこまねく政策課題であったとしても、小野市は”知ってて知らないふり”をせず、『不作為の連鎖』を断ち切るが如く、「先手管理」で”行政手法の再構築”の道筋を示すことが、6期にわたり市民の負託を得たリーダーたる首長の使命であると考えております。
「政治とは無限の理想への果てしなき挑戦」であります。
“今まではこうであったという前例を踏襲することなかれ、かくあらねばならんという固定観念に捉われることなかれ”と、その無限の理想への熱き想いを持ってリーダーシップを発揮してまいりますので、皆様のより一層のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。